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◆神楽坂上だより

神楽坂上だより(3号)

 残暑お見舞い申し上げます。

 8月25日、明石書店よりできたてのW.J.ゴフマン著『新装版 人間と放射線』が届きました。その添え書きには「このような時代になってしまったことが本当に残念でなりませんが、二度とこのようなことが起きないようにすることはできるはずだと思います。本書(の新装版出版)がその一助になればと願うばかりです」(ご担当の大野祐子氏)とありました。

 本書の初版は1991年2月、旧社会思想社より翻訳出版されました。ちょうどこの頃からチェルノブイリ原発事故による、特に子どもたちの間での放射線の被害が深刻化し、ゴフマン博士のこの本への問い合わせがしばしば寄せられていました。
 本書は人間の健康と放射線際の影響、なかでも低線量での影響、若年層での影響についての研究ではバイブル≠ニ称されるほど世界的に定評のある本です。

 しかしゴフマン博士は、本書「著者紹介」に詳しいように、もともと、「マンハッタン計画」に参加、放射線の人体への影響調査に従事、核兵器開発のために設立されたローレンス・リバモア研究所の生物医学部門でアメリカ原子力委員会からスタッフと資金の提供を受け、ガンと染色体損傷の病理学的研究、放射線影響の疫学的調査をまかされます。しかし博士は、1969年頃から、放射線はこれまで考えられていたよりも危険なものであることを確信、警告するようになります。
 ゴフマン博士のすごいところは、これに対するさまざまな妨害、圧力に屈せず科学者としての責任、医師としての良心から、以後、原子力の危険性訴えるための市民運動を本格的に開始したことです。一方でゴフマン博士は、専門の心臓病の研究でも業績を残し、2007年、サンフランシスコの自宅で死去しています。行年88歳でした。

 原子力の現代史とでも言えるようなゴフマン博士の足跡をふり返ってみますと、訳者代表の今中哲二氏が「復刊にあたって」で記されている「『人間と放射線』が再刊されるという『好事』のきっかけが、福島第1原発事故という『大惨事』であることに訳者のひとりとして複雑な思いを禁じ得ないが、この本が『放射能汚染と向きあう』ための智恵を私たちに提供してくれるものと確信している」という数行には、万感の思いが込められていると拝察します。

 新装版として復刊したいという朗報に、友人を介して接したのがこの6月半ばのことでした。700頁を越える大部なものにもかかわらず、このような短時日のうちにすべてをととのえ、求めやすい定価付けで見事に仕上げてくださった明石書店のスタッフの方々並びに関係者の皆様に、この場をおかりして感謝いたします。

2011年9月1日

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